2006 -  3,100 x 2,063 (mm)

When My Back's Against the Wall

Kaua’i   North Shore Sight

Maniniholo Dry Cave

Lumahai River

Ha'ena Beach Park

ハナレイの市街地を過ぎて、クヒオ・ハイウェイの北の終点が近づくと、そこは、映画「南太平洋の」の舞台バリハイです。

決して見逃すはずも無く、最初に目に入るのは、とても長く広がる金色の砂浜のルマハイ・ビーチの東側、ミッチー・ゲイナーが、映画の中で、「あの人のことを(髪を洗い流すように)、忘れてしまおう」と歌った所です。

この島でとてもゆっくりとした時間を過ごしていると、日頃の生活やビジネスのストレスの事など、少しは気にはなりますが、いっそうの事、全てシャンプーで洗い流したくなるかもしれません、この歌詞の文字通りの恋の相手の事ではなくてね。

ここを過ぎて更に半マイル程行くと、ルマハイ川に渡された一方通行の木製の橋がありますが、その手前が、コロコロ岬と呼ばれているルマハイ・ビーチの西のはずれです。

ここは、岩礁がないため波が直接海岸に打ち付けるので、とても危険で、海水浴には不向きです。カワイで最もハイタイドなエリアとして知られておりますが、遥か北極から押し寄せる波が、この半島の岩で、更に増幅されるのです。

川の流れは、押し寄せる波の砂によってせき止められ、小さなラグーンを作り上げることがあるので、サーファーが、体の潮を洗ったり、子供達が、遊んだりするかもしれませんが、大波が押し寄せると、一気に崩壊しますので、とても危険です。

ワイアレアレ山にもたらす天からの恵みの膨大な量の雨は、ルマハイ渓谷にも溢れる程に流れ落ち、渓谷に美しい彫刻を施し、原始の森林を潤し、最後に、ここに到達しますが、このように、この清流は、ゴール直前にて、大波が押し寄せる砂の堰と言う、最後の大きな試練に直面するのです。


この作品では、あなたは、この清流の最後のドラマティックな出来事を、水を蓄えていないマニニホロ洞窟から眺めております。この洞窟は、実は、この先約3マイルの所に存在しますが、これは、アートの世界ですので、お許し下さい、、、また、ついでですので打ち明けますが、コロコロ岬には、このようなヤシの木はありませんので、実際に探さないで下さい。

マニニホロとは、ハワイの伝説の中の人の名前で、妖精メネフネのための漁師の長でしたが、魚を盗む妖怪を追いつめるため、または、閉じ込めるために、この洞窟を掘ったとされております。実際、科学的には、地中での溶岩の通り道であった、ラバ・チューブと呼ばれているものです。

水滴の滴る入り口の奥には、300ヤードの暗い洞窟が広がっておりまが、昔はもっと広かったらしく、1957年の津波により、半分くらい、海の砂で埋まってしまったそうです。

もしも、勇気がございましたら、実際に入ってみますか?奥の方には、メネフネが作った石の偶像も置かれているそうです。私は、誰か来るのを待ちましたが、誰も来なかったので、一人で奥まで行き、長時間の露光の撮影もトライしましたが、とても気持ちが悪くて、数回シャッターを押して、すぐに外へ逃げ帰りました。カメラのフラッシュの一瞬の光は、瞬く間に、重く暗い岩肌の壁面に吸収されて、その後、足下ですら、何も見えなくなります。この瞬間の光景は、忘れられない体験として、私の記憶のCCDの中にも焼き付き、その後、今でさえも、何度か夜の夢の中に現れます。

カワイのパラダイス空間の中で世のしがらみを洗い流した上でのこの空気感は、あまりにも、そぐわないもので、何か大きなストレスを抱えてしまったような気持ちになります。そのストレスは、日常の生活の中のそれと非常に似ているかもしれません。

日常の生活が、まるで、この洞窟の中のように、いつまでたっても、答えの見つからない、非常に過酷で悩み多い生活のように思えてきます。カワイの解き放たれたパラダイス環境は、このような日常生活の見方をよりいっそう顕著に感じさせてくれるものです。

しかし、物質主義のただ中の生活も、たまには、それなりに、魅力的に見えてしまう事があります。

それは、自分には本来必要としない筈の物なのに、つい見すぎてしまう事から、欲望の罠に陥る事は、誰しもある事でしょう。私の場合は、「売れる作品を作らなければ」と言うプレッシャーなども、この欲望の類いの一つです。

それが、実は、答えの見いだせない、また、絶対的な価値観を持続できない物である事は知っている筈なのに、目先の安っぽい餌に誘われるがままに、迷宮の中に自分を陥れてしまう事により、自らを、不安に、また、不幸にしてしまうものです。

答えの見いだせない事に対する疑問の投げかけや、すぐに裏切られてしまう、今の時勢の価値観の移ろう様は、まさに、この、何も見えない洞窟の中の奥に向かって答えを求める行為に等しく、いくら探しても出口を見いだせない、堂々巡りに等しいのです。

「また、日常の生活に戻ったなら、同じ事を繰り返すのだろうか?」と思いつつも、私たちは、この生活を繰り返す事によって、身も心もすり減らしながら、見えない敵と結論のない戦いを続けているのです。

私は、このように、何度も後ろを振り返っては、大きな失敗を繰り返してきました。

決して変わる事のない、忠節な愛、、、私が後ろを振り返り、そんな洞窟に引き返そうとして悩みの壁に直面している時、生ける神の言葉は、何度も何度も耳元で囁き、助けを差し伸べて下さいました。

西暦紀元前1513年以前に、モーセによって代筆された神からの勧めの言葉は、今の時代にあっても更に真実です。「命がけで逃げなさい。後ろを振り返ってはいけない。、、、」と、ロトの家族に言いましたが、「、、、彼の妻は、振り返ったので、塩の柱になってしまった。」とあるように、一見、魅力的に見える玉虫色の物質的価値観の愚かさを見抜き、それに打ち勝つ事は、私たちにとっては、それほど、非常に難しい事なのです。

今、私たちが、価値の定まらない物を追い求めながら活動している毎日は、正に、この洞窟の中の生活と同じです。しかし、元々私たちは、この洞窟の中で生活するように造られた生き物ではありません。全てのストレスの原因は、全てここにあるのです。

確かに私たちは、仕事上、例え洞窟の束縛から離れられないにしても、本来あるべき私たちの環境がどんな物であるべきかは、ちゃんと、知っているのです。

この作品の外の景色はいかがですか?ゴールは、すぐそこに見えております。振り返らずに、「命がけで」常にここを見据えたいものです。イエスは真実に言われました「、、、、あなたはきょう、わたしとともにパラダイスにいます。」と。


聖書出展:創世記19章17節より26節、ルカの福音書23章43節(新改訳)

Exhibition works with "From reportage to surrealism, the best photographs of the outgoing year" at the Fotoloft Gallery, Moscow, Russia, December 2008 to February 2009.

Solo Exhibition "BREATH OF HEAVEN" at Ikspiari, Tokyo Disney Resort, Tokyo, Japan on April to May 2007.

Solo exhibition at The Art Board Gallery, Downtown, Honolulu “First Friday”, Honolulu, HI, USA in 2007 to 2008.